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インターセックス [人生のハンデ]

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雑誌の書評を読んで興味を持ったのは、1年前。
その場で検索して予約したにも拘らず待つこと半年、しかもやっと順番がまわってきたのに
私のミスで図書館に借りに行けず再び予約して半年待ってようやく手にすることが出来ました。
本を開いて専門書ではなく小説であることに気づき、がっかりしたのですが、
まさか読んでこんなに泣かされるとは予想もしていませんでした。

インターセックス」ここには2元論の歪みが医療という現場に
どのように現れているのかが、生々しく書かれていました。

インターセックスとは、中間性の身体で生まれてきた人の性を言います。
男であり女である者、または女でもなければ男でもない者、
日本語の半陰陽(はにわり又はふたなりともいう)のことです。
この言葉があるくらい昔から存在していたことが伺えます。


この小説では主題は「性」というジェンダーの問題ですが、
ここには出産という「生命」の問題も絡んできますし、
遺伝子異常という治らない患者と医療がどのように向き合っていくべきなのかの
問題提起も物語を通じてされています。
インターセックスという身体に生まれた者が、
研修医を含め珍しい病態として扱われることに対する
医療現場で感じる怒りや哀しみ恥辱は、
自分の体験にも通じるものがあります。
そして、家族の態度もほぼ同じです。
唯一違うのは、早くに両親を失った私の両親は、
私が他と違うことで責められはしなかったであろうことくらいです。

これを読んでいくと「正常でない」という決め付けの元に
医療行為が進められていくことが理解されます。
しかし、それは真実なのでしょうか。
不便は解消されるべきと思いますが、
インターセックスに生まれた者達は、病気ではないのです。

「医学というのは人々の救済の歴史であった一方で、
人々を正常と異常に分けて、片方を一方的に患者に仕立て上げるという
残虐の歴史も持っています。」(文章は引用)

偶然にもここにまたしても、2元性社会の犯す間違いを
見ることになりました。
私がこの本を読むのに1年待たされたのは、偶然ではなかったのでしょう。
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コメント 15

ruriy

ジェンダーの問題には以前から興味があります。
読んでみたいです。
by ruriy (2009-11-25 18:19) 

A・ラファエル

ruriyさん

色々なことを知り、考えるきっかけと充分になりえる本だと思います。
お勧めです。
by A・ラファエル (2009-11-25 18:30) 

A2Z

こんばんは。
この著作者の書籍は好きで何冊も読んでいます。
この本は読んでいません。
もっとも、最近は読書ができませんが。(涙)


by A2Z (2009-11-25 19:07) 

A・ラファエル

A2Zさん

こんばんは。
私は実はあまり小説は読まないのです。
A2Zさんの状態にある人は、
皆さん本が読めなくなったと嘆いていらっしゃいますが、
私から見るとマインドが過活動気味なので、
本を読むことは更にマインドを活発化させる行為なので、
読まないでいるくらいのほうが早くバランスが取れるような気が致します。
左脳よりも右脳を刺激してみては如何ですか。

by A・ラファエル (2009-11-25 19:27) 

キャシー

アンドロギュヌスですね…
出生の時に外見で性別が判断されると聞いています
外見が男児でも成長する家庭で女性の機能も出てきて…
結果的に本人が男か女…どちらを取るか決める事になるようですが…
by キャシー (2009-11-26 09:05) 

ikuko

この本、気になります。
図書館で見つけたら読んでみたいです。
正常と異常のラインはどこなのか・・
ほんとは、ある意味、すごく曖昧なのではないかと思います。
数の多い方を正常と定義しているだけで・・・

by ikuko (2009-11-26 09:09) 

菊地一也

まったくですね。

たとえば「うつ病」についても
言いたいことはたくさんありますが

今日はひとことだけ。

こんな世界に生きていて
調和のとれた生き方についても
良く知らないのに

よく平気でいれると驚きます。

ですから
「うつ病」になっている方のほうが
「正常な」感受性を持ち合わせているのではないかと
思うことがあります。

by 菊地一也 (2009-11-26 10:24) 

marilyn

こういう問題は日本とアメリカではかなり違いがあるのでしょうね…。
でもラファエルさんの仰るとおり、正常と異常で分けてしまうのは間違ってますね。
彼らが負っている精神的苦痛はきっと大きなものだと察します。

by marilyn (2009-11-26 11:15) 

K2015

この著書の本は勧められて数冊読んだのですが、
この作品は知りませんでした。
確か著書ご自身が医師だったような・・・。
泣かされる本なのですね。
読むときはティッシュ用意して読ませていただきます。
by K2015 (2009-11-26 12:48) 

るる

私たちが(主語が大きいですが)正常でありたいがために、異常者を生み出し、自分たちを正常の側におくことで、安心を得ているのかもしれません。
by るる (2009-11-26 19:35) 

A・ラファエル

キャシーさん

色々なケースがあるようですが、
出世時点で明らかに見た目では判断が難しい場合も存在するようです。


ikukoさん

私も数で決めているような気がしました。


菊地一也さん

本当にすべてを白か黒か、
正常か異常かに
分ける行為こそが誤りである気がしています。
調和の観点から在り方をみつけたいですね。


marilynさん

日本はまだ医療の現場でもカウンセリングが根付いてないので、
患者の精神的ケアには、無頓着な医師もいます。
私の主治医もどちらかといえばこのタイプですが、
日本に3人しかいない専門医なので他を探しようもありません。
まぁ、私は自分については医療のストレス緩和もできますが・・・。
本文にて触れたように、
ほとんど実験動物扱いにも思える様々な子供の頃の体験は、
友人に言わせると「ドクハラを超えて人権の蹂躙だ。」そうです。


K2015さん

著者が医師・・・確か書評でそのように読んだと私も思います。
ストーリー事態はサスペンスなので、物語の進行で泣くかは微妙なところですが。


るるさん

それは私からは絶対に出てこないであろう発想です。
興味深い集団心理です。

by A・ラファエル (2009-11-26 21:40) 

ぴよぴよ ベクトル

A.ラファエルさま

懊悩極まりないアンタッチャブルの領域に
さらに迫ることを意図された小説
シェアありがとうございました。

話は変わりますが A.ラファエル様が以前お書きの
「うつ病」のblog三本 遠距離電話でそれでお悩みのお友達に
全部 朗読でお届けしました。

誰にも言われた事のない 全くその通り のお説に
初めて ご自分に納得もいき 

賢明な方なので きっと 今後の一助。。どころか生き方に大きな変化を齎されることになりましょう。
ありがとうございました。一言お礼まで。 ぴよ拝


by ぴよぴよ ベクトル (2009-11-27 11:17) 

A・ラファエル

ぴよぴよ ベクトルさん

ブログの朗読・・・その素晴らしい発想に私も驚きましたが、
そんな形で誰かの役に立てるのもまた、嬉しいです。
ありがとうございます。
by A・ラファエル (2009-11-27 12:20) 

tsworking

読んでみたいなぁと思って、横浜市の蔵書検索をかけた所、予約47件!!
色々な関心もあるのでしょうが、それだけ時代に即した内容なのかなと思いました。
大掃除が終わって、心が落ち着いたら、何らかの形で読んでみようと思います。
by tsworking (2009-11-28 15:24) 

A・ラファエル

tsworkingさん

私のほうの予約状況とあまりかわらないかも・・・。
この1年本屋で見つけたら買っても・・・と思っていましたが、
1度も本屋で見ることはありませんでした。
by A・ラファエル (2009-11-28 20:23) 

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