過去ログを読んでいる人は、知っていることでしょうが、
かって私は自分の父を憎んでいました。
私の父は「お金は天下のまわり物」と信じている人で、
家族の持ち物に境界線の引けない性格だったのです。
すなわち、家族のものは俺の物、俺の物は俺の物だったのですが、
自分が作る借金に関しては、家族のものになってしまう困ったチャンでした。

私が二十歳を向かえる前に、母はガンで他界し、
生命保険の受取人名義は、私であったため、
私はお金を持っているという心の甘えが父に出るのでしょうね。
27歳の時に腰痛で倒れ寝たきりになってしまった無収入の私に、
借金の返済で苦しむ父は、家計費を一切入れなくなりました。
それでいて当然の権利のように食卓のテーブルに着き、
「飯はまだかぁ?」と言っている父に対する
怒りと憎悪は抑えられるものでもありませんでした。

早々に結婚して父から逃げた姉も見かねて、私を婚家に居候させてくれました。
父のもとを離れ、運命に導かれるがごとくヒーリングの勉強を始めた私は、
自分が癒されるほどに他者への癒しの可能性が拡がることを知るのです。
学びが深まれば、家族のことも冷静に見ることができます。

怒りの下には悲しみが、憎悪の裏には愛情があることを私は知りました。
私は父を愛するがゆえに、もっとちゃんとして欲しい
父親らしく振舞って欲しいと望んでいたから、
自分の理想とする父とは違う、父の生き方、振る舞いに傷ついていたのです。
人は身近な相手、とりわけ家族や恋人、伴侶には
自分の欲求を満たしてもらいたいエゴを持ちやすいものです。
しかし、
「どうして?」と、自分の理想と現実のギャップに傷つくのは、身勝手な話なのです。

自分勝手な欲求や要求を手放して、父を見てみると、
残っていたのは、ただ愛だけでした。

自分の内側にある観念、「こうあるべき」を手放したことで、
父自身が何も変わらなくても、私の感情は変化させることが出来たのです。