少女マンガ以外をあまり受け付けない私が、
読んで号泣したのが表題の「犬を飼う」でした。

基本、画面が黒っぽい作風を好まない、
線が多くてその線が整理されていない画風は好きでないのが、私なんです。

線が多くても細部にわたりきっちり描いている人は好きです。
それで谷口さんの絵には拒否反応がでなかったのだと思います。

さらにいうなら、私はリアルな動物が好きなので、
マンガとはいえ擬人化した動物はあまり好まないところがあります。
この動物のリアル感が好ましい作品でもあるのです。

この作品を読んだのが、犬関係の人々に「旦那」とも「恋人」とも言われた愛犬エドが他界して、
まだ数年と経っていなかったという時期的なものもあったかもしれません。
しかし、愛犬は突然死でしたので、この作品に出てくる「タム」のように、
介護を経験することもありませんでした。

登場人物夫婦の老犬介護の日々と、その後に続く「そして猫を飼う」
表題作だけを読むと「生と死」の切なさが重いけれども、
その後も残された人々には生ある日常が続く、
この淡々とした日常感にとても癒された作品です。