ペットの身体に埋め込む認識票であるマイクロチップは、わが国ではなかなか普及が進まない。
これは飼い主はおろか動物愛護推進員にさえも正しい認知がされていないように思うのです。

少し前に私の住む地域で活動する推進員が集まった時に、
地域猫活動をしている人から獣医さんに疑問が投げかけられました。
「なぜ、個体識別の為にマイクロチップ挿入しなくてはならなくなったのか?」
話を聞いていれば彼らのこのことへの不満は理解できます。
マイクロチップは体内に埋め込むから目視では個体の区別は付けられないのです。
野良猫を相手にしている彼らには目視で個体識別ができるというのは大事なことです。
しかし、これまで自分達が個体識別の為に行なわれていた耳カットの残虐性は、
獣医さんよりその工程を説明されて始めて認識を得られたようでした。


マイクロチップの埋め込みが残虐であると誤解している人は、まだとても多いようです。
その根拠は体内に異物を入れる
しかもそれの表面がガラスである
この二点からきているように思えます。

上記の異物混入については、他の方法があるならそうしたいが本音だと思いますが、
現状で出来る最良の方法がこれであるというところでしょうか。
関係者は今後の課題としてここの部分は見守っているのです。
しかし、ガラスの件は明らかな知識不足が原因です。
確かに一般のガラスは、生体内に入ったら拒絶反応が起きること必死です。
なぜなら通常のガラスには重金属である鉛が入っているからです。
このことを考慮して生体が拒絶反応を起こさないように特別に作られたガラスで、
マイクロチップはつくられています。
この特殊なガラスで作られたマイクロチップは体内に挿入後数年経つと、
体組織とガラスが癒着して切り離すのが難しいくらいになっているとの話を、
解剖実習で見た獣医さんより伺ったことがあります。

このマイクロチップと同じ様なガラスで作られているのがオーラソーマのウォータースティックです。
これが発売された時に、あるオーラソーマのティーチャーが
「普通のボトルを水に浸して使うのじゃ駄目なのかしらね。」と、言っていましたが
全く同じ理由で、これはやってはいけないことになります。
どちらも正しい知識の認知が必要であることを物語っています。


昨年12月でマイクロチップが埋め込まれたペットの数は19万匹に達したというけれど、
これは推定飼育頭数と比較すれば13パーセントほどでしかありません。
保健所に収容され飼い主不明で殺処分とされる数十万の犬と猫の命を
救う手立てとなるマイクロチップの普及は関係者の望みでもあるのです。

最期にマイクロチップが一役買ったホッとするニュースで今日は締めくくりましょう。

少し前のことになりますが、フランスで飛行機内から発見され保護された猫が、
マイクロチップによる情報から元の飼い主がアメリカの女性であることが判明、
三年ぶりに飼い主の元に戻ることが出来たのです。
飼い主は行方不明になって三年が経過していたためにその生死は諦めていたから、
この帰還には大いに喜んでいたようです。
マイクロチップを入れていたからこそ可能になった奇跡のような出来事であると思います。


★本日上野にて動物愛護の中央行事参加の為、2009-02-22の再掲載