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他者と自己の対峙(境界線の認識) [ヒーリング]

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私は、ジブリアニメで注目された「ゲド戦記」の作者、ル・グィン女史のほかの作品、
「ハイニッシュユニバース・シリーズ」の愛読者でした。
このシリーズのテーマは他者との対峙であったそうです。

自分と他者ということを見つめた時に、そこにあるのは自と他であり、
ここには家族さえも関係ありません。
自分以外のものは、全て他なのです。

ところが、ここに対してこのような区別の感覚のない人がいます。
しばしば、母親はわが身より子を生み出すせいか、
子供が自分とは違う「個」の存在であることを忘れてしまう人がいます。
例えがよくないかもしれないけれど、死のうと思う時に
子供が生きていくか死をともに選ぶかを母親が尋ねたという例を私は知らない。
子供は自分と共にあるのが当然と思っているかのごとくに、
相手の尊厳を守る意識が希薄な気がするのです。

昔の日本の家屋には、壁の部分が少なくて、
子供部屋はあっても兄弟の雑居で、
家族は寝る時以外は、居間にいて過ごすのが当たり前という生活でした。
つまり家族の生活は、全員には筒抜け状態でした。
この頃の人々の意識には、自分と他者との区別もあまり強くなく、
「お醤油がないから隣に借りてきて。」
「はーい。」なんて生活を皆が当たり前にしていました。
高度成長に伴い、個人がそれぞれの部屋を持つのが理想となってきた頃には、
お隣に行かずコンビニに走るようになったのではないでしょうか。

社会が自と他の境界を先ず持つようになってきたともいえるでしょう。
となれば、人間の意識の中にも変化は生まれます。
けれども、先祖から受け継いできた生活のあり方、家族の関わり方、自分の心の持ち方、
これを変化に伴いどう変えていけばいいのか、
混乱してバランスが崩れてしまっているケースも見かけます。

正直いってこのことに正解はありません。
大切なのは、その人にとってどこに境界を持ったら
周りと上手く付き合えるのかではないでしょうか。
タグ:心の境界線
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tsworking

一番苦手な問題です。
速く乗り越えたいです。
by tsworking (2010-01-19 22:04) 

キャシー

ゲド戦記…大人買いしたにもかかわらず読めずに居ます…
私の母は自分の所有物のようにコドモを扱います…
なので物心ついた頃から母の事は嫌いでした…
彼女は未だにそうです…

by キャシー (2010-01-20 08:16) 

ソニックマイヅル

今のデフレもその例かもしれませんね。^^;汗

by ソニックマイヅル (2010-01-20 08:38) 

ruriy

ゲド戦記、面白いみたいですね。一度読んでみたいと思っているんですよ。
占星術の師が大好きだそうで、授業中よくこの話題が出てました。
魚座に木星がいる今年は、他者との境界線についての問題が浮上すると思います。
by ruriy (2010-01-20 08:40) 

A・ラファエル

tsworkingさん

これはハートの学びですから。
そこからみていくといいと思います。


キャシーさん

そのような状況こそ自分を癒し、自分のエネルギーを変えることで
相手の態度も変わってくるというもの。
よかったらご相談くださいませ。
ゲド戦記先ずは一巻だけでも読まれるといいかもです。


ソニックマイヅルさん

確かに経済社会の中での境界線が崩れてきているのかもしれませんね。


ruriyさん

ゲド戦記は、映画より原作の方がはるかに面白いです。
ついでにユング心理学のシャドウのあたりの話も読むと面白さ倍増なのですよ。
この学説とゲド戦記一巻は、ほぼ同じ頃に世に発表されたものです。
内容の類似点に驚かされます。
人間の創作、思考、集合無意識というものを垣間見ることが出来ます。
by A・ラファエル (2010-01-20 09:38) 

marilyn

ラファエルさん

何と言う共時性でしょう。今日は私は仕事が休みでしたので、家でわかりやすいユング心理学という本を読み終えたところでした。
ラファエルさんの内容を読んで、あれ??と思って居たところで、ruriyさんへのコメントを読んで、やはり!!と思いました。ユング心理学はとっても納得行く内容でした。
ゲド戦記、面白そうですね。今度購入してみます。
by marilyn (2010-01-20 15:02) 

A・ラファエル

marilynさん

国を越えて働く共時性、
人間って本当に無意識の領域では繋がっていることを感じますね。
by A・ラファエル (2010-01-20 16:00) 

アクビ

社会学的および心理学的には、核家族化が進んだことで家族内の関係性が濃密になりすぎた、という見方があります。

隣近所との境界が希薄だった時代の方が、個々の境界はひょっとしたら今より適度に線引きができていたのかもしれません。
子供も沢山いれば、母子の関係も必要以上に濃密にならずに済んでいたのだろうと思います。

核家族で育った一人っ子はやっぱりしんどい、とあらためて思ってしまいました(-_-;)
by アクビ (2010-01-21 23:40) 

A・ラファエル

アクビさん

いろいろな観点があるのだろうと思います。
大事なのはどこに境界線を置いたら快適なのかですから。

姉妹がいるのもしんどいものですよ。(笑)
by A・ラファエル (2010-01-21 23:57) 

アクビ

なるほど、確かに立場によってそれぞれありますね。

度々恐縮なのですが、こちらが適度なところで線を引いてるつもりでも、それを無遠慮に踏み越えて来る人に対して、どう対処するのが良いのでしょう??
by アクビ (2010-01-22 12:48) 

A・ラファエル

アクビさん

コミュニケーションとるしかないと思います。
誰でも嫌がらせでなければ、自分がされて嫌なことはしないのが普通です。
あなたにとって不快なのだということを伝えなければ、
その関係性に進展はありません。
by A・ラファエル (2010-01-22 18:25) 

菊地一也

長屋に秘密があったか!
(はっきり長屋とは書いていないか…)
本当に日本人は他者との境界が不明瞭です。

by 菊地一也 (2010-01-22 18:42) 

A・ラファエル

菊地一也さん

実は私は現代に残る長屋で暮らしたことがありまして、
上の親子喧嘩も隣の夫婦喧嘩も筒抜けでしたが、
壁はあるから境界がなかったかといわれるとそうでもありませんでした。
でも、一軒家だった家族との生活の方がなかったと思います。
国民性かと問われると外国暮らしはしたことがない私には、
わからないですが、
お住まいの地域性によっては、ないところがある気はいたします。
by A・ラファエル (2010-01-22 20:39) 

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