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家族との価値観の違いによる葛藤 [マンガ]

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吉田 秋生さんの「ラヴァーズ・キス」このタイトルを予告で見た時に、
私は思わずショックを受けた。
およそこれまでのこの作者の作品からは想像が出来ない内容だったから。
掲載は読み切り形式の連作だった。
私は一作読むごとにこの作品に描かれている人物達に惹き込まれていった。
最初の主人公は二人姉妹の姉、里伽子だが、物語が進むに連れて、
主人公は関係する人物のなかでどんどん移り変わる。
移り変わるので、ひとりの少年が髙3にして学校を中退して生まれ育った土地を離れることの
裏側にあるものを本人ではなく関わる様々な人々の視点から描かれていくのです。

ストーリーこそタイトル通りのラヴ・ストーリーなのですが、
ここに描かれているのは、家族のなかでの葛藤なのです。
外から見ると理想の家庭に見える家の中にいる者の内実とか、
家族だから判っていると思っていた相手の真実とか、
そういういろいろが切ない。
誰が悪いとかそんな風に切って捨てられないのは、
その相手が家族であるから。
そこに生まれる葛藤というものが私達を時に苦しめるのです。


そして、家族との葛藤で苦しむ主人公を描いた秀逸な作品が、
故三原 順さんの「夢の中 悪夢の中」です。
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この作品の発表は前後編で、前編が1991年の12月号、
後編が1992年の1月号ですので約20年前に描かれた作品ですが、
現在読んでも古くさいところ等何も感じないといえるのは、
作品の主題が人の心の内と外での葛藤にあるからだと思います。
家族であっても、趣味や幸福における価値観は同じとは限らない。
その違いを認められない時に私達はとても苦しむ。


私がこれらの作品を読んで癒されたと感じるのは、
やはり家族との葛藤において理解されたという感触がなかったからかもしれません。
親の期待に添えない子供というのは、その示された要求の内容が何であれ、
「期待に答えられなかった自分がいけないのではないのか。」という、
心の責めを負いがちです。
けれども、一方でこの作品の世界のように、
親の要求が理不尽なものであるのを感じることもあります。
二つの相反する心が生じるのが自分の家の中であるなら、
その人物は家庭において安らげることはないといえるでしょう。


肩の力を抜いて自然体で家庭という集団、そこにいることを手に入れるために、
私は自分を癒すことを始めたのだと思います。


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ikuko

家族の関わりって、その家族の中の人間にしか分らない事って
ありますよね。。
家族だからこそ、すれ違ってしまう部分もあったり。

by ikuko (2012-10-27 20:32) 

A・ラファエル

ikukoさん

はい、確かに。
家族だからこそ、些細なすれ違いも気になったりといろいろですね。
by A・ラファエル (2012-10-27 21:13) 

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