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ラスト・ソング-グリーフの必要性- [ヒーリング]

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私は常々、どのような悲しみや苦しみからも目をそらしてはいけないと、
いっています。
けれども、これが大方の人にはとても難しいことであるのも理解しています。
目をそらさないと決め、
自分の悲しみを理解していた私でさえ、
32年前の傷に悩まされるのです。
すでに頭では、マインドでは、仕方なかったことを理解しています。
けれども、マインドと感情つまりハートは別物なのです。

「グリーフ」という言葉を知ったのは、この本を読んでのことです。
グリーフは、直訳では「深い悲しみ」や「悲嘆」を表し、大切な人を失ったときに起きる
身体上・精神上の変化を指す言葉だそうです。
ただ、私はオーラソーマ・プラクティショナーとしての訓練で、
ロス(喪失)体験には、慰めることよりも、
相手の心に寄り添うことが必要なことを学んでいます。
私が自分のハートと向き合えなかったのは、
32年前の母の死に際して、私に寄り添える者は誰もいなかったからです。
この体験の前には、家族同士であってもお互いを支えとすることが出来ない
場合もあるのです。

ホスピスにおける音楽療法士が癒しの力を発揮するのは、
患者だけではなく、患者の家族も含まれます。
それは、音楽という体験が共有できるからです。

佐藤由美子さんが言うように、
「聴覚は最後まで残る」という話には、母の今際の際の私の体験とも符合します。
昏睡状態に陥っていたのに母は、私の呼びかけに対し、手を握り返してきたのです。
意識のない人の反応とは、私にはとても思えなかった・・・。


アルツハイマーのために言葉が出なくなってしまった元歌手が、
セッションの後、一時的に声を取り戻して、妻へ愛の言葉を伝えたり、
ひととき昔のように歌ったりする奇跡の瞬間、
これらは音楽が与える力とも言えるでしょう。

ただ、このような体験は、私が行っていてるヒーリング体験とは、
少々違います。
私が目指しているヒーリングは全質変容なので、
一時的な回復とは、違うのです。
けれども、この一時的な回復に意味がないわけではありません。
発病によって、夫の声を聴くことが出来なくなった奥様には、
「I love you」の一言がどれほどの重みのある言葉であろうか。

哀しみも癒しも、人によって受け入れられる許容範囲が違うのです。

紹介されているエピソードで印象深いのは、やはり「時子さん」のケースでしょうか。
戦争で唯1人生き残ったという彼女が、
封印してきた自分の悲しみと向き合い、
それを受け入れたら、うつ病が治り家族とも会話できる自分を取り戻す様には、
どんなに辛い体験でもグリーフと向き合うことの大切さを感じます。

どのように辛く苦しいものであっても、それがあなたを創り出している
大切なあなたの欠片なのです。

私達セラピストは、あなたがそれを自分の1欠片として受け入れられるように、
サポートいたします。
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ikuko

すべての経験は良いことでも悪いことでもなく
自分を形成しているもの・・・とは思うのですが、
向き合えるようになるには時間が必要な場合もあったり、
何かしたらの時期があるように思います。。
多分・・向き合える瞬間っていうのは
その人にとって一番良いタイミングでやってくるのではないかと・・・
なんとなく・・感覚的に、ですけど、そう思います。
by ikuko (2015-07-03 12:55) 

A・ラファエル

ikukoさん

それが、人生・・・宇宙への信頼です。
ただ、それを待っていないで自分でタイミングをつくる人もいるだけですね。
by A・ラファエル (2015-07-03 13:03) 

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